「色塗り授業」2016/7/25

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Dream

 中学校のグラウンドにいる。新品の車に色を塗る授業、をやっているらしい。見覚えのある顔の生徒たちが手にラッカー缶を持ち、あたりに大量に転がっている車めがけて、一生懸命に吹き付けている。鮮やかな水色だった。

 いつの間にか自分もラッカー缶を持っていたので、車に吹き付けてみる。やはり水色だった。しかし中々うまくいかない。色に濃淡が出来て均一に色を付けられない。

 近くにいた女生徒が話しかけてくる。「ダメダメ、そんなんじゃ。もっと勢い良く吹き付けて、前のペンキを落としていかなきゃ」

 前のペンキとは何だろう?考えているうちに、彼女は先程まで私が色を付けていた車に向けて、ラッカー缶を吹き付け始めた。車のボディに吹き付けているはずなのに、何故か車のエンジン部分から水色の塗料が滴り落ちてくる。

「こうやってやるのよ。頑張ってね」

 どうやるんだよ、と思いつつも、彼女に教えてくれたお礼を言った。

 授業終わりのチャイムが鳴り、片付けをすることになった。私はラッカー缶の片付けである。グラウンドの端にある倉庫に入れれば良いらしい……が、そのすぐ手前で整列をしているクラスがいる。

 後ろから回りこんで倉庫側に向かうと、「お前邪魔だろ。場所を考えろ」と言われる。思わず「すいません」と謝る。よく見ると同級生だった。私は謝りながらも倉庫の扉を開け、ラッカー缶を片付ける。何故か実家の押し入れと同じものが入っていた。

 ラッカー缶を片付け、同じように後ろから回りこんで帰ろうとすると、先ほどとは違う生徒があからさまに通せんぼをしてくる。「どいてくれ」と言うと「俺は俺より弱っちい奴に近くを通られるのが嫌いなんだよ」と言って私を突っぱねてきた。さっきは普通に通してくれただろうに……。このまま意固地になっても喧嘩になるだけなので、反対方向からまわることにした。

 いつの間にか倉庫と私を含め、整列をしていたクラス全体が教室の中にいる。私は教室の後ろのドアを開け、廊下を通って前のドアを開けた。

 見覚えのある顔の先生が教壇に立っていて、「○○(先程通せんぼしてきた生徒の名前)の態度が気に食わない」と私に言う。私は先程のことを先生に話した。先生の顔がみるみるうちに変わって、今にも怒り出しそうな表情になったので、私は急いで教室のドアを開けた。

Real

 悩み事のない、平和で、穏やかな暮らし。人はそれを「甘え」と言う。

 考えないことに対して警鐘を鳴らす。自分たちと同じように「忙しい」と口にさせようとする。貧乏であることをしきりに責め立てる。働かない人間をクズと呼ぶ。

 生きることについて、人並みには考えてきた。

 必要な分だけ働き、それ以外の時間を楽しむ。考えて出てきた結論を、今こうして実行に移しているだけなのに、別に迷惑をかけてもいない赤の他人に、なぜか怒られてしまう。

 将来が不安でしょ。老後はどうしましょう。結婚はしないのか。そのうちひとりぼっちになるよ。もっとまじめに生きなさい。誰も助けてくれないんだから。君は精神的に弱すぎる。そんなに社会は甘くない。

「あなたのためを思って言っているのよ」

 あなたの身勝手な悩みを、私に押し付けないでください。