「立体パズル」2016/7/6

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Dream

 真っ白な空間。宇宙にいるかのように、自分の体が浮かんでいた。身体を動かそうと思うが、四方からロープで固定されているかのようで動けない。

 目の前にはオブジェクトが、やはり同じように浮かんでいる。背丈は自分と同じくらい、木のような材質でできた、不定形で奇妙なオブジェクト。私の目の前でゆっくりと回転している。

 オブジェクトの中心には軸が通っていて、薄い円盤状のパーツを何層も重ねて出来ている。それぞれのパーツは軸を中心に回転する。

 この時点で「これは人の形になるパズルだ」と直感的に理解した。同時に頭の中で、目の前のオブジェクトが人の形になるさまを想像する。

 その瞬間、突然オブジェクトが動き出した。脚、腰、胸……下から順番に、頭の中で想像した通りの人の形を勝手に作っていく。奇妙なことに、そのさまが妙に滑らかで、艶めかしいのである。

 真っ白な空間の中で、二人は向かい合っていた。お互い何も喋らない。

 しばらくすると、オブジェクトはまた形を変えた。人の形から、元の不定形な何かへ、そうしてまた人の形に戻って……ということを繰り返している。

 私は逃げたいと思った。しかし身体は動かない。奇怪なオブジェクトが形を変えるさまを、ずっと見ていた。

 他にも何か夢を見ていた気がする。

 内容は思い出せないが、パズルを解いた時のような……小さすぎてどう考えても通り抜けることのできない出口を通り抜けてしまった時のような、背徳感のある夢だった、気がする。

Real

 久しぶりに見知らぬ街を歩いた。部屋から半径2キロ以内が普段の自分の行動範囲である。私にとって、そこから先はもう未開の土地だ。

 交通量の多い大通りを眺めていると、人も車も建物も、得体の知れない黒いモノを吐き出しながら動いているような気がしてくる。すれ違う人の笑い声を聞いて「ひょっとして自分のことを笑っているのではないか」と思って恥ずかしくなる。暑さが登っている。あまりいい気はしない。

 裏通りを歩くと生活の匂いがする。デッキブラシで床をこする音がひどく懐かしく、同時に住宅街や一軒家が、自分の意識から遠く離れていくような感覚があった。生きている心地がしなかった。