「肉と花と謎の部屋」2016/7/9

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Dream

 私は実家にいて、何をするわけでもなくウロウロしている。あちこち部屋を行ったり来たりしている。居間へ入った時、調理用品が置いてある戸棚の前に、炊飯器くらいの大きさの黒い塊があることに気付いた。

 母に訊くと、こいつはセイウチの肉らしい。傷まないように黒くなめした革で包んでいるそうだ。

 中身が気になったので、台所から包丁を持ってきた私は、革を取ることもせず、肉塊のど真ん中に思い切り突き立てる。先端部分をグニグニと動かしながら中身を裂いていく。動物を生きたまま切った時のように、ドロッとした血がドバドバと溢れ出てくる。言いようのない罪悪感に襲われながらも、どんどん深く切っていく。上物なのか、筋はなく切断するのは比較的楽だった。

 ちょうど半分に切断できたところで、黒い革をはがす。思っているよりもペラペラだった。じっくりと肉を見てみる。肉にしては随分と黒っぽかった。触ってみると若干乾燥しているような気がする。あれだけ血が出てきたのになぜだろう。

 端の方を薄く切って、口に入れてみた。生の状態なのに噛むとビーフジャーキーのような味がする。「持って帰れば良い」と母が提案する。

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 黄色い花がある。大きめの美しい花びらが広がっている。根元の方は少し茶色い。しばらく見惚れていたが、突然花が歪み始めた。衝撃を加えたドラム缶のように「バコ」「ボコ」と音を立てながら歪んでいく。

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 12畳くらいの見慣れない部屋に突っ立っている。頭の中から声が聞こえて、ここが私の部屋だと言われる。見たことのない装丁の本が本棚にずらりと並んでいる。玄関はあるが、何故か窓とトイレがない。椅子やテーブルなどの家具もない。本棚だけが並んでいる。頭の中で、ここの家賃は3万5千円だと言われる。

 勝手に身体が動き出して、玄関のドアを開ける。そこにはまたも部屋がある。さっき見たのと同じように、本棚しかない部屋であるが、壁にドアが2つある。中に入りドアを開けると、3、4畳くらいの個室と、トイレがある。個室にも本棚しかなかった。ここの家賃は4万円だと頭が言う。同時に、お前は両方の部屋を借りているのだとも言われる。

 私は絶望した。両方合わせると7万5千円。私の月給はたったの10万円。生きていけないではないか!

Real

 街頭演説の声で目が覚める。最近は票を取るために、どこも躍起になっているようだ。具体的な政策を述べる前に睡眠妨害料金を頂きたい、と頭のなかで考えながらニヤッとしていた。