Dream
母と姉と私と、実家で3人で何かを話している。他愛もない笑い話だったと思う。母が台所のすぐ前にある椅子に座り、姉はその隣にあるテーブルの前で、正座で座ったり寝転がったりしている。私はそのすぐ近くにある冷蔵庫にもたれかかっている。
姉が突然表情を変えて「私、夢があるんだけど」と切りだす。「やりたいことが沢山あって、もっと真っ直ぐ追いかけたいんだけど、仕事や生活の事情もあるからどうしても難しい」いつになく真剣な顔をしていた。
「追いかければいいじゃない」と母。「明確な目標があるのに、自分の仕事や生活を、頑張れない言い訳にしちゃいけない」と言う。
「夢なんてたいそれたこと言って、本当はただの願望じゃないの?そういう大義名分を掲げて、とりあえず周囲の人間から、今の自分の存在を認められたいだけじゃないの?」
「その夢が、本当に自分の中で叶えたいものなのか、まずはしっかり考えなさい」
私も母に同意する。
「本当に、大変だな」と姉。それっきり黙ってしまった。
「……ま、何も夢のないやつよりはずっとマシだけどね」と言いながら、母は私を見やる。
「今はもう無いんだろう?何も」
何も。
何も言い返すことができなかった。
Real
「世の中そんなに甘くはない。もっと精神的に強くなれ」
やっぱり、思った通りだった。何も分かってはいなかった。
母と長い間、話をしていた。お互いの性格・考え方について、やはり人とは違う、という点で互いに納得した。
「私があなたのことを理解できないように、あなたは私のことを理解できない」
これが現実。夢のない夢。人の領域に触れるというのは、そういうことだ。