「夢のない夢」2016/7/19

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Dream

 母と姉と私と、実家で3人で何かを話している。他愛もない笑い話だったと思う。母が台所のすぐ前にある椅子に座り、姉はその隣にあるテーブルの前で、正座で座ったり寝転がったりしている。私はそのすぐ近くにある冷蔵庫にもたれかかっている。

 姉が突然表情を変えて「私、夢があるんだけど」と切りだす。「やりたいことが沢山あって、もっと真っ直ぐ追いかけたいんだけど、仕事や生活の事情もあるからどうしても難しい」いつになく真剣な顔をしていた。

「追いかければいいじゃない」と母。「明確な目標があるのに、自分の仕事や生活を、頑張れない言い訳にしちゃいけない」と言う。

「夢なんてたいそれたこと言って、本当はただの願望じゃないの?そういう大義名分を掲げて、とりあえず周囲の人間から、今の自分の存在を認められたいだけじゃないの?」

「その夢が、本当に自分の中で叶えたいものなのか、まずはしっかり考えなさい」

 私も母に同意する。

「本当に、大変だな」と姉。それっきり黙ってしまった。

「……ま、何も夢のないやつよりはずっとマシだけどね」と言いながら、母は私を見やる。

「今はもう無いんだろう?何も」

 何も。

 何も言い返すことができなかった。

Real

「世の中そんなに甘くはない。もっと精神的に強くなれ」

 やっぱり、思った通りだった。何も分かってはいなかった。

 母と長い間、話をしていた。お互いの性格・考え方について、やはり人とは違う、という点で互いに納得した。

「私があなたのことを理解できないように、あなたは私のことを理解できない」

 これが現実。夢のない夢。人の領域に触れるというのは、そういうことだ。

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