インターネット社女性VOCALOID所感

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 結局年内にほぼ全てのインタネ社女性ボカロを揃えてしまったので、ここらで全員の特徴とか評価を書いておこうかと思います。

 

インタネ社ボカロ全般

 インターネット社VOCALOID全体に言える特徴として「リアル志向」であることが挙げられます。初音ミクで有名なクリプトン社のボカロが「キャラクターに自分の歌を歌わせる」ことをコンセプトにしているのに対し、インタネ社は「元となるボーカリストを出来得る限り再現する」ことに注力しています。

 クリプトンやAHSと違い、個々のボカロのキャラクター性をあまり重視していないため(後発の音街ウナを除く)、キャラ設定が存在しないライブラリもいます。

 ライブラリそのものは個性豊かな面々で、他社ボカロにはない特徴を持ったものが多いです。また現時点で出ているV3~V4のライブラリ全てがクロスシンセシス可能です。

 SynthVやEmvoice、新PIapro StudioといったVOCALOID対抗馬が続々と出てくる昨今、今更V3/V4ライブラリの導入ってどうなの?という感もありますが、クロスシンセシスによる声のエディットを考えると、製品として出ている中で作れる声の幅が一番広いのがインタネ組じゃないかなーと。

 

 一応、全員の声のタイプを図にまとめるとこんな感じ。大人びた万能声のGUMI Native、バラード寄りのkokone、発声の良いChikaが中心の三すくみで、その周りを各分野に特化したライブラリが囲っているイメージ。

 クロスシンセシスは別ライブラリ間で組む場合、この図からメインとセカンダリーとの距離が近い、要するにタイプが近いライブラリほどより相性がいいと言える(一部例外あり)。

 

個別評価

 それぞれのライブラリに個人的な評価点として☆を付けます。

タイプ Native・Power・Adult・Sweet・Whisperでそれぞれ近しいタイプを表記
使いやすさ 実際に打ち込んだ時の使い勝手
ノイズ 打ち込んだ時に気になるノイズ量。☆が多いほどノイズが少ない
リアル度 声がよりリアルなボーカルに近いかどうか
声量 声の埋もれにくさ、声圧の強さ
発声 はきはきして聞き取りやすい声かどうか
クロスシンセシス 他ライブラリとのクロスシンセシスの相性
おすすめ度 購入の際のおすすめ度合い

 これから購入するかもしれないという人は参考程度にどうぞ。

 デモはVOCALOID公式から。

V4

Megpoid(GUMI)

 ド安定。V4だけでライブラリが10種(V3再現含む)あるためジャンルを選ばずに使える。とりあえず1人だけ欲しいならほぼGUMI一択。次点でウナ。

 基本的にはV4の方が優秀だが、V3再現は声の厚みがあまりないChikaやCULなどのライブラリと合わせる場合は有用。ここではV4版を紹介。

 全てにおいて安定しているNativeが特に優秀で、クロスシンセシス用に各分野に特化したPower・Adult・Sweet・Whisperが続く。

NativeFat

 

タイプ Native
使いやすさ ☆☆☆☆☆
ノイズ ☆☆☆☆
リアル度 ☆☆☆☆
声量 ☆☆☆
発声 ☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆☆

 Nativeは汎用性・安定性で間違いなく最強。どんな歌にも安心して入れられる、大人びた標準の声といった感じ。ベタ打ちでとりあえず作る際のリファレンスとしても優秀。

 クロスシンセシスではあまり相手を選ばず無難に組める。グロウルが使え、かつクセがないのでメイン、セカンダリー共に有能。V3のセカンダリーにすれば実質V4化。安定した声になり使い勝手が格段に上がる。

 

PowerFat

 

タイプ Power
使いやすさ ☆☆☆☆
ノイズ ☆☆☆☆
リアル度 ☆☆☆☆
声量 ☆☆☆☆
発声 ☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

 Powerはアタックが強く、Nativeをより張り上げた感じ。インタネ組はPower系のバリエーションが多いが、声をぐっと張り上げる独特のニュアンスはGUMI Powerが得意とするところ。

 声量・声の厚み・発声と、Power系では最もバランスがいい。他Power系のように特化した部分があまりないため、GUMIメインでなければセカンダリーとしての出番が多い。Nativeと同じく、声が安定し使い勝手が良くなる。

 

MellowAdult

 

タイプ Adult
使いやすさ ☆☆☆
ノイズ ☆☆☆☆
リアル度 ☆☆☆☆
声量 ☆☆☆
発声 ☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

 AdultはNativeより低音がやや強く、アタックが控えめ。インタネ組はAdult系がこれとLilyしかいないため選択肢に入る。こもりがちで自己主張が少なく、より落ち着いた雰囲気の曲によく合う。

 クロスシンセシスではセカンダリー向け。各ライブラリの声年齢を引き上げたり、主張の強い声を抑えるのに役立つ。公式でGUMI Adult×Lilyの組み合わせが紹介されているように、Lilyとの相性が最も良い。

 

Natural Sweet

 

タイプ Sweet+Power
使いやすさ ☆☆☆
ノイズ ☆☆☆☆
リアル度 ☆☆☆☆
声量 ☆☆☆
発声 ☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆

 Sweet系。PowerほどではないがNativeよりは主張が強め。Sweet系はより特化したウナSugarがいたり、Chikaとポジションがほとんど被っていたりで、GUMIライブラリの中でもかなり微妙な立場。声に個性を求めるならChikaの方がよりキャラ立ちしやすいため、メインライブラリとしては存在価値があまりない。

 逆に言えばそれらのセカンダリーとして運用するならかなり優秀。ややPower寄りなため他のPower系とも問題なく組める堅実派。

 

SoftWhisper

 

タイプ Whisper
使いやすさ ☆☆☆
ノイズ ☆☆☆☆
リアル度 ☆☆☆☆
声量
発声
クロスシンセシス ☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

 Whisperはバラード全般をカバーする特化型。女性のWhisper系が現時点でこれしかないため有用度は高い。完全なささやき声で埋もれやすく、単体で使うことはほぼない。

 クロスシンセシスはGUMI Nativeやkokoneを筆頭に、Power系以外とであれば問題なく組める。バラード作るならとりあえずセカンダリーにWhisper入れよう、ってくらいには有能。

 

こんな人におすすめ

・一人だけで何でもこなせる万能な声がほしい
・初音ミクのような声が嫌い、もっと大人な声が好き

 

音街ウナ

 いわゆるロリ声・アニメ声。Sweet系のSugarとPower系のSpicyの2種。幅広いジャンルで使える上にGUMIよりも導入コストが低い。良くも悪くも最近のアニメ声を踏襲しているので、それを受け入れられるかどうかで大きく評価が分かれる。

 公式サイトがあったりTwitterが結構アクティブだったりで、現在のインタネ組で最もプッシュされている。

UNA Sugar

 

タイプ Sweet
使いやすさ ☆☆☆☆
ノイズ ☆☆☆☆
リアル度 ☆☆☆☆☆
声量 ☆☆☆
発声 ☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆☆

 SugarはGUMI Sweetをより特化させた印象。幼く甘いきれいな声。息成分と声量のバランスが絶妙で、声年齢が低い点以外は弱点のない優等生。

 V4ライブラリなので当然クロスシンセシスにも強い。ライブラリの完成度が高く高音のノイズがほぼないため、他のV3ライブラリと組み合わせると大幅に化ける

UNA Spicy

 

タイプ Power+Sweet
使いやすさ ☆☆☆
ノイズ ☆☆☆☆☆
リアル度 ☆☆☆
声量 ☆☆☆☆☆
発声 ☆☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

 Spicyは低音から高音まで全体がパワフルでキレが強い。低音はSugarと違いボーイッシュな雰囲気になる。CULとLilyを足してより幼くした感じとも言える。

 クロスシンセシスはSugarと同様、ノイズの多いV3ライブラリと組ませることで化ける。ただしPowerに特化しているのもあり、使い勝手はSugarの方が上。

こんな人におすすめ

・より安値で万能に使える声がほしい
・アニメ声が大好き、キャラクター性もほしい

 

V3

Lily

 V2時代からいるインタネ組最古参の一人。V2再現のNativeとV3の2種。古いライブラリのため使い勝手は良くないが、後述する唯一無二の特徴があるため選択肢としてはアリ。

Lily V3

 

タイプ Power+Adult
使いやすさ ☆☆
ノイズ ☆☆
リアル度 ☆☆☆☆
声量 ☆☆☆☆☆
発声 ☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆
おすすめ度 ☆☆

 ウナSpicyを幼いPower系とするなら、Lily V3はアダルティなPower系。特に強力な低音は他社の女性ボカロにはないLilyだけの強み。

 滑舌が非常に悪いという致命的な欠点があるため、リードボーカルとして使うなら子音分割やVEL調整、アタックを増やすなどのケアが必須。総じてボーカル処理に慣れた上級者向け。

 クロスシンセシスでは唯一無二の低音と声の厚みを付加できるが、上述の通りクセが強いためGUMI・kokone以外との組み合わせは難しい。また混ぜすぎるとノイズが乗りやすい。

 

 Nativeも一応紹介。

Lily Native

 NativeはLily V2の再現。V3から低音と厚みをなくした印象で、滑舌の悪さは相変わらず。デモの段階で分かるがガラガラしたノイズが乗っているため、実用性としてはかなり微妙なところ。低音はいらないからLilyのキャラ性だけ欲しい、というときには使えるかもしれない。

こんな人におすすめ

・ボカロでハードロックやメタルを作りたい
・どしっとしたパワーのある声がほしい
・どんなライブラリも使いこなせるぜ!という上級者

 

kokone(心響)

タイプ Native+Whisper
使いやすさ ☆☆☆
ノイズ ☆☆☆
リアル度 ☆☆☆☆
声量 ☆☆
発声 ☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

 マイフェイバリット。個性豊かなインタネ組の面々で最もキャラクターの薄い没個性的な声。ゆえにコーラス役としては最適。全体的に弱々しくベタ打ちだとやや使いづらい。

 高音域のファルセットと、ファルセットに変わる少し下の力むような「人間らしい」声の出し方が特徴。基本的にバラード向けだがある程度のジャンルをカバーできるので、よりリアル志向な人や愛のある人は一考の価値あり。

 クロスシンセシスではその没個性さゆえ、ほぼ全てのライブラリと違和感なく組めるポテンシャルの高さが魅力。メイン/セカンダリーの入れ替えやパラメータ調整によって様々な顔を見せる。綺麗なファルセットを付加できるためセカンダリーとしての運用もアリ。

こんな人におすすめ

・コーラス用にボカロがほしい
・バラードメインで色々作りたい
・クロスシンセシスで自分好みの声を作りたい

 

Chika

 

タイプ Native+Sweet
使いやすさ ☆☆☆☆
ノイズ ☆☆
リアル度 ☆☆☆
声量 ☆☆☆
発声 ☆☆☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆☆

 超不人気。こもった感じの全くない、ハキハキとしたキレの良いキュートな声。非常に扱いやすく、リファレンスとしても優秀。V3ライブラリでは最も万能だが、高音になるにつれ声がガラガラしていきノイズが乗りやすくなる。

 使用者がほとんどいないという別方向のアドバンテージがあるので、そういう意味では狙って買ってもいいかもしれない。

 GUMI Native同様、クロスシンセシスはどのライブラリとでも無難に組めるが、特有の高音ノイズを消せるV4ライブラリと最も相性が良い

 セカンダリーとしては中域のキュートな声質が混ざるので、それと合うライブラリとならOK。それ以外はGUMI Nativeにお株を奪われているため出番は少ない。

こんな人におすすめ

・安値で万能なのが欲しい、でもウナの声が無理
・女性らしいキュートな声がほしい
・有名なライブラリは絶対使いたくない

 

CUL

タイプ Power
使いやすさ ☆☆☆
ノイズ ☆☆☆
リアル度 ☆☆
声量 ☆☆☆☆☆
発声 ☆☆☆☆☆
クロスシンセシス ☆☆☆
おすすめ度 ☆☆☆

 V3最古参にしてVOCALOIDの体現者。全ボカロのPower系ライブラリ中でも圧倒的な声のキレを持つ、棒線一本書きのじゃじゃ馬娘。どんな曲に放り込んでも埋もれることがない代わりに、やたら目立つクセのある声のためコーラスには全く向かない。リードボーカルに完全特化しているので使い所は考えよう。

 細かいニュアンスの表現が苦手で、Lily並みにクセが強い。代わりに実直な声で、入力した通りきっちり歌ってくれるためある意味初心者向けではある。

 メインとして使うなら他のPower系などとクロスシンセシスさせて声に厚みを足してあげるのが無難。セカンダリーでは他の声圧のないライブラリを引き上げる&特有のクセとキレを付加する用途として使える。

こんな人におすすめ

・ボカロっぽい声がほしい
・とにかくパワーとキレのある声がほしい

 

総括

 紹介終わり。以上の解説から結論を言うと、これから新規で購入するならV4ライブラリがバランス良くておすすめV3はそれぞれにしかない一芸や特徴があるので、手持ちライブラリと相談しながら好きなものを買うとボーカルの幅が広がります。

 インタネ組ボカロを複数持つ場合はクロスシンセシスも視野に入れましょう。組み合わせるライブラリと各パラメータの調整によって単体より光る可能性があることを付け加えておきます。

 しつこいようですが個人の意見なので、あくまで参考までに。

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