リフレクションフィルターを自作してみる

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 今回はリフレクションフィルターについて。

 今までボイス収録用にマイクは持っていたのですが、宅録なんかで使う反響音やノイズ軽減用のリフレクションフィルターを持っていなかったのです。

 リフレクションフィルターとは内側に吸音材、外側に遮音材を貼ったフィルターのことで、マイク周囲に置くと内部からの声を吸音材で吸収、外からの反射音や環境音を遮音材でカットすることで、できる限りデッドな声を録るためのものです。

一般的なのはこういうやつ。画像はAmazonより

 気になってAmazonなどで調べてみましたがこれが結構高い。どれだけ安いものでも5000円を超えてきます。

Eyeball。画像はAmazonより

 一番効果のありそうなEyeballはなんと2万円超え。マイクの周りすべてを吸音材で覆うことでデッドな環境を作っています。持ってるマイク(AT2020)より高い。たかがスポンジに2万など、この超貧乏アルバイト生活の私にはちょっと厳しい金額。

 どうしたものかと考えましたが、丁度スピーカーのセッティングに使用した吸音材の余りが手元にあり、遮音材を買い足せば自分でも作れそうだなーと。

 ということでリフレクションフィルターの工作開始。

 買ってきたのは5mm厚のNRゴムシート。ちょうどいいサイズがなかったので20cmのを5枚買ってきました。約1000円也。このゴム、意外と遮音性に優れているらしいです。

 まずはゴムシートを14cmにカット。

 内1枚にはマイクを通すための穴を開けておきます。

 吸音材も同サイズにカット。ゴムシートと張り合わせます。

 この5枚の板を立方体の形になるようにうまく接着していきます。接着にはボンドとグルーガンを使用。

 

 外側のつなぎ目をグルーガンで全て埋め、内側の吸音材の隙間からもグルーガンを流し込み、ガチガチに固めます。

 ここまでやってから、縦長のシートを丸めて円柱型にしたほうが良かったと後悔し始めました(笑)。とにかく時間がかかる。

 強度が心配なので、入口部分の縁にもゴムを貼って骨にします。

 接着部分が汚い?細かいことはいいんです、どうせ家でしか使わないし。

 とりあえず外側は完成。しかし……。

 声を出して音を確認すると,めちゃくちゃ音がこもってます。

 そして結構重い。多分400gはあるぞこいつ(笑)。

 よくよく調べてみると、吸音材であっても一部の音や大音量は吸収しきれずに貫通してしまうようです。それが外側の遮音材で反射されてこもりの原因になっていると。

 おそらくリフレクションフィルターが小型になればなるほどマイクとの距離も近くなるので、遮音材を使用するのは逆効果だと予想。

 だから市販のフィルターには遮音材にパンチング処理されてたり、Eyeballは遮音材を使ってないのだなと、勝手に納得。

 仕方がないので、カッターでゴムシートの壁に穴を開けていきます。内側の吸音材を破らないように。

 結果的にゴム部分は枠だけになりました。思いの外丈夫ではありますが、最初からこの形で作るならもっと安上がりな素材があったかもしれません。

 もう一度音を確認。うまい具合に音が抜けて、こもりはなくなりました。これは結構いい感じ。

 ここから内側に更に吸音材を詰めます。持ってる吸音材が1cmとかなり薄いので、2,3重にして吸音効果を高めます。

 適当に十字にカットして詰める。

 更に端材を詰めて……。

 完成。早速セッティングしてみます。Eyeballのようにマイクに直接かぶせるような形でセット。外枠があるのでショックマウントの上に置くような形に。

 たまたまポップガードがうまい具合にハマるサイズになりました。これは嬉しい。

 

作ったら検証、これ大事

 せっかく自作したので音の違いを見てみましょう。アナライザーを使って普段のノイズ録音してみます。使用するのはMAnalyzer。

 場所は当然自分の部屋、時間は午前中。近くの道路を車が行き交う音やら、マンション内の階段を昇降する音やらが聞こえてきます。ワンルームなのでPCのファンノイズなんかも乗ってます。

 左が自作フィルターなし、右があり。

 非常に残念な結果になりました(笑)。普通に耳で聞いてもわかるほど、フィルターありのほうがノイズが大きくなってます。手で耳を覆い隠すと音がよく聞こえるアレのように、遮音材で周りを覆った結果音がマイクのある空洞部分に集まっているのか。あるいはマイクとの接合部分をゴムシートではめ込む形にしたために、箱全体の振動をマイクが拾ってしまっているのか。周りをゴムで作ったのは間違いだったか……。

 よくよく見てみると100Hzあたりと3kHzあたりはフィルターを付けると減衰するようです。素材の問題なのか、たまたま録った音にその周波数帯の音がなかったか……結果だけ見るとやっぱり、うーん。

 今度は手元のオカリナをマイクで録ってみます。

 音自体は全く変わってないですね。フィルターありの方が倍音が大きいのは多分私の吹き方の問題です。

 耳で聞いてみた感じ、フィルターありの方は部屋の反響音をかなり抑えられていました。四方を囲っているので当然ですが。

 

結論、そしてさらなる検証へ

 結果的には、環境音は普段より拾ってしまうが反響音は防ぐという、いいのか悪いのかよくわからないことになってしまいました。小型のリフレクションフィルターはこういう傾向になってしまうのか、私の自作フィルターの材料(主にゴム)がいけなかったのか……うーん気になる。

 どうしても気になってしまったので、適当な小型のリフレクションフィルターを買ってみることにします。

 あれ、なんか本末転倒な気が……(笑)。

 続きはまた次回。