虚像 シェアする ツイート 合わせ鏡の奥の奥に触れた気分で歩いてすらいない人々を 常にバカにしていた 随分と立派に育ってしまった私の自己顕示欲は持ち運ぶのにも精一杯でまるで米俵を抱える申のように腰を曲げ体中に疲労の二文字を押し広げている 目的地へと着く前に倒れてしまいそうだ そろそろ休憩でも取ろうかとゆっくりかがんだ私の背中にぬうっと暗い影が差した 大きな虚像がミシミシと足音を立てて歩いている