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そいつは女の顔をして
私の体を求めてきた
しばらくは気づかないふりをしていたが
あまりにもしつこいので
手首の方をぺちぺちと叩いて
「こいつはアガリだぞ」と脅してやった

それでも身じろぎ一つせず黙ってついてくるものだから
おいと叫ぶとちうと返された
どうやら余程たまっているらしい

しかし何とも貧弱な身体である
乱れた髪にこっそり混ざっていても気づかれまい
世の中には随分と肥えた者もいるようだが
見ろ!この体躯を
淑やかさが誰にとっても相応しくなくなるのだ

ケセラセラと笑い ふと目をやると
そいつは褐色のラグビーボールの腹をして
釣られたマグロみたいにごろんと転がっている

はてさて どんなふうにいれてやろうかと迷っていたところで
私は考えることをやめた

手 洗いに行きます