寒空の下で

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寒空が街を照らしている

というよりも
街が寒空にケンカを売っている
と言ったほうが正しいかもしれない

ちょっかいを出すのは
いつでも私たちの方からなのだ

半年前はあれほど熱気のこもっていた街も随分と床冷えして
どうだと言わんばかりに体中を刺し回っていた蚊もなりをひそめている

2色しかないマーブル模様を寝転んで眺めていると
色が目の内側で徐々に柔らかくなって
少しづつ降下していくクラゲのように見えた

実は空というのは逆さまな湖で
その表面はビニール袋みたいなものを浮かべている
と考えれば想像はしやすい

つまりその程度なんだ
空も 私も

とはいえ私の思考というものは
それほどだだっ広いものでもなく
精々自分の中をあちらこちらにぶつかりながら
ぐるぐると巡っている一つの感情でしかない

だからと言って感傷的になるわけでもなく
自らの居場所を考えるわけでもなく
そんな私は

視界に入った日差しに不覚にもくしゃみをしてしまって
あーなんだか寒いなー寒いなーなどと言いながら
本当に寒いところをさらけ出したままなのである