瞬間の詩 #41~#50

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#41

私は今一人である。一人ではあるが孤独ではない。孤独ではないがぼっちでもない。
一人とは個人である。個人とは人間における枠組みの中で未来永劫個人のままであるから、つまり私は個人なのである。
一人とはこれから二人三人と増えていくかもしれないが、孤独が増えていくことは絶対にないのだ。

#42

沢山失敗をしてきた。恥ずかしい思いも沢山してきた。でもそれでいい。それが未来の自分を作るのだ。ありきたりだと笑いたい奴は笑えばいい。
うまくいった時はいろんな人が見てくれるように、うまくいかなかった時は誰も私のことなんか見てはいない。
幼きかな、よきかな。もっともっと、若くあれ。

#43

「無名」とは何と幼い響きであろう。そして何と甘美な響きであろう。それはまだ未熟な果実のことだ。これからまた積もっていくであろう雪のことだ。
完成することのないジグソーパズルを1つづつ埋めながら、私たちは今もなお広がり続けている。どのような絵が完成するのか、それは誰にもわからない。

#44

心は常に曖昧で、運と時間と適度なタイミングによって明るくなったり暗くなったりする。
二つのライトを重ねればより明るくなるように、人と時間の組み合わせによって明暗にはムラができる。私達はそのムラの中を漂い続けている。
辛いからといって目を瞑ってはいけない。そこにあるのは闇ばかりだ。

#45

今日こそはね、ちゃんと死のうと思うんだ。そしてアイツを負かしてやろうと思うんだ。世の中逃げたやつが一番強い。戦うやつはただの臆病者なんだ。死に足をすくませて、受け止め続けているやつも同じさ。
死んだやつが一番尊いんだ。向こうに逝けたらばっちり賞賛してくれよ。笑ってやるからさ。

#46

楽しいことが見つからない?何でも気の持ちようじゃないの?
私達は遊んでいるのよ。毎日毎日真面目に、汗水たらして、ね。これは本当よ。誰だって辛いのはキライだもの。
だから、もっと息を吸って。すーはーすーはー、よゆうよゆう。そんな気がしてきたでしょ?
嬉しくてゴメンナサイ!

#47

何かの視線を感じる。常に何かが私を見ている。
私が呼吸をしている限り、空は太陽の光でまどろんでいる。
私が重力に逆らわない限り、土はいつも私を支えている。
私がここに生きている限り、海は私の内側でさざめいている。
沈黙を許せ、神よ。存在は財産だ。私は罪と怠惰を愛する者だ。

#48

障子を開けると雀が飛び立つ。我先にとすぐ近くの木へととまる。しばしの沈黙。
柔らかい箒で縁側を掃いてやる。掃除をする気はないが自然とそうしている。木と枝のこすれ合って滑る音がする。
居間から拝借してきた金平糖をかじる。砂糖だ。トゲトゲだ。カラフルだ。そして甘い。
これが私の家だ。

#49

音楽は、時に人を空しくさせる。林檎飴のしょっぱいところのように、重要な場面でふと現れては、まるで自分だけが不幸であるかのような気分にさせてくる。「ああ、悔しいな」と思って、そうして忘れていく。
そんな感情が水面下に溜まってくると、水に濡れた落ち葉みたいな心が生まれる。

#50

傷の舐め方は覚えているのだけれど
怪我の数が多すぎて とても楽になれるものじゃない

ささやかな良心だけを残して
穏やかに死んで行くのだろう

優しさなんてどこを切り取っても同じようなものだ
切り口は鮮やかで軽い

この世で最も美しく
誰にも気付かれない嘘をついてやろうと思う

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