トラックボール両手持ちのすゝめ

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 今回はトラックボールマウスのお話。

 手首の腱鞘炎が気になり、トラックボールに変えてから2年半ほど経ちます。それ以前は普通のマウスで「エルゴノミクスデザイン」だの「手首の負担軽減」だのと謳っていたものを使っていたのですが、それのせいで逆に手首を痛めたり腱鞘炎になるという(笑)。その頃からPCに向かう作業が多くなったのもありますが。

HUGEの無線版。キーボードとの対比でサイズ感がよく分かる。

 現在使用しているのはエレコムのM-HT1DRBK。通称「HUGE」。丁度トラックボールに変えようかと思ってた時期に出てきた人差し指操作型のマウスで、MicrosoftのTrackball Explorerから乗り換えた人も多いんだとか。

 私は無線版を買ったのですが、どうも無線の子機の方でハズレを引いてしまったようで、PCをシャットダウン後に起動させると子機が認識しません。USBを抜き差しすることで元に戻りますが「無線の意味ないじゃん」っていう(笑)。2台目を買うとしたら有線版にします。

 とにかくボールがでかい、同時操作に便利な人差し指型、カスタマイズ可能な8ボタン式、価格も比較的安い……といいところ尽くめで私も愛用しているのですが、いかんせんこのマウス親指への負担が大きい

 親指位置にあるボタンが左クリック、ホイール、プラウザの進むと戻る、計4ボタンもあります。全体のボタンの半分を親指で押す仕様です。

 普段のプラウザ操作やエクスプローラー操作でスクロール・ダブルクリックを多用するとすぐ親指が痛くなってきます。普通のマウスもそうですが、クリックとホイールを同じ指でやらせるのは苦痛

 あとスクロールホイール自体が小さかったり丸みのかかったデザインだと、回転させる指に圧がかかって痛くなってきます。長時間操作を想定していないホイールは駄目ですね(HUGEはまだホイールが大きい方かと思います)。

 DTMになるとドラッグとスクロール操作が更に増えるので地獄。VOCALOID調声の際に長時間やり過ぎて痛みが数日続いたこともあります。ここまで来ると完全に腱鞘炎。

 ただこのマウス、トラックボールにしてはボタン数も多くカスタマイズしやすいんですよね。これを他のトラックボールに変えるだけでは作業効率がかえって落ちてしまいそうだったので、左手側にもトラックボールを置き、両方で操作するという「二刀流」にしようかと。

 カーソル操作は右手のHUGEで完全に慣れてしまったので、左クリックとスクロールを左手でもできるようになればかなり快適になると予想。

 左手でも使えるトラックボールで、かつスクロールが楽なものとなると、もう選択肢はケンジントンくらいしかないです。

 じゃあ一番いいやつを買おう、ということで買ってきました。

Slimblade Trackball。独特なフォルムと全体の光沢が美しい。

 ケンジントンのSlimblade Trackball。トラックボールのハイエンドモデルにして超イケメン。

 このマウスはホイールではなく、トラックボールを周りのリング部分に沿って水平に回転させるとスクロール操作になります。本体からカチカチと小気味よい音が聞こえてきます。

 ボタン数は4つ。上2つと下2つの同時押しで、計6の操作を登録できます。ボタンは中心に近づくにつれ押しやすくなります。結構ストロークが深めで軽いです。慣れない内はボール操作時に間違って押してしまうことも。

 単体で操作する時は普通のマウスのように「握る」ではなく、力を抜いてそっと「かぶせる」感じ。この状態で人差し指・中指でボール操作、親指・薬指・小指でボタン操作、スクロールは指をリング部分にかけてひねる、といった具合。

 店頭で他のトラックボールもいくつか触りましたが、Slimbladeはホントに手が楽。使ってて気持ちがいいですね。あとスクロールの中毒性がすごい(笑)。HUGEのフライングスクロールなんて目じゃない。

両端にトラックボール、上にMIDIキーボード。

 キーボードの左右に置いてみました。2機種を見比べてみるといろいろな面で対照的だなと感じます。個人的にはカーソル操作性とカスタマイズ性はHUGE、全体的な操作快適性はSlimbladeがそれぞれ優秀なイメージ。

 各マウスの設定はこんな感じ。ドライバーの干渉や不具合が心配でしたが、同時起動しても問題なく動いてます。

 右手はプラウザの進む・戻ると、Ctrlショートカット(+C・+X・+V・+Z・+Y)。左手の上2つは各種スクロール(ShiftキーとCtrlキーの組み合わせで縦横スクロールと拡大・縮小)、左下がタスクビュー、同時押しはエクスプローラー起動とスクリーンショット。左クリックはどちらのマウスでもできるようにしてます。

 このやり方に変えて思ったのは、カーソル操作とスクロール操作を別々にするとめちゃくちゃ快適だということ。スクロールをしながらカーソルを動かすという作業は、片手でやるとなかなか難しい上に手の負担が大きいんですよね。それを左右で分担してやるので全く疲れません。

 あとこのボタン設定だと、左手だけで拡大縮小や横スクロールが出来ます。両手マウスなので単純にボタン数が増え、ショートカットも多く登録できるので、キーボードで同時押しを使う場面がかなり減りました。DAWでの左手操作はフィジコンを触ってる気分になれます。

 おかげで結構悩まされてた右手親指の腱鞘炎が治りました。めでたしめでたし。