「作詞コンペはサイコロを振って決めている」と思い込む話

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 こんにちは、玄川静夢です。

 いきなりふざけたタイトルでございますが、この記事の内容はこれ以上でもこれ以下でもありませんのでご了承ください、とあらかじめ予防線を張っておきます(笑)。

 作詞に限らず、コンペというやつには当然ですが必ず競合者がいまして、作詞コンペはその中でも、割と競争率が高いコンペなのではないかと、私個人は思っております。

 理由としては、作詞が「誰でもできる」と世間一般的に思われていること。小説やエッセイなどと違い文字数が少なく、簡単な日本語で構成されることが多いので「こんなの自分でも書けるんじゃね?」と端的に思い込んでしまうのです。作曲は楽器やPC・機材等の物理的、金銭的な準備や、それらに対する知識が前提として必要になるのですが、作詞に関しては前提が「言葉がわかること、書くものが必要なこと」くらいしかないので、例えば音楽経験の一切ないサラリーマンがふと思い立って書くことができます。幼稚園児にだって詞は書けます。

 初期投資ゼロ。始めるのに準備はいらない。金も時間もあんまりかからない。

 そう思われているからこそ、今も沢山の人が歌詞を書き、かたや数編書いた程度で終わり、かたや自己満足の半分詩のような何かを狂ったように書き続け、かたや思い込みで勝手に夢破れ、あるいは目標のためにひたすら書き続け、そのうち挫折したりしているわけです。

 さてそのコンペですが、その結果が必ずしも平等な、間違いのない結果になるわけではないということを、私は頭の隅に置いておこうという、本当にただそれだけの話しです。

好みがあるさ、人間だもの

 集まった作品を選考するのは、その楽曲の製作者(作曲家)であったり、あるいはプロデューサーであったり、グループのリーダーであったりしますが、彼ら一人ひとりはれっきとした人間であり、個人の趣味趣向というものが存在します。

 仮に世の中の作詞家全員が「これは100点満点の詞だ」と評価するような素晴らしい詞を作ったとしても、コンペの主催者が「これは気に食わない」と言ってしまえばそれでおしまいだということです。詞に対する技術的な部分を求めてくる人もいれば、例えば詞の中に漢字が多すぎるからNGとか、和製英語を使っていたら問答無用で弾くとか、そういう「応募側からはわからない割と理不尽な要求」をする人もいます。

 これはコンペの数割方がそうだとかいうことではなく、全てのコンペに関して、審査員の主観が大小はあれど入っています。そしてその審査員の主観・好みと、詞の完成度に関しては何の関係性もないということです。

 身も蓋もない言い方をしてしまえば、コンペのために制作した詞が審査員の好みと合致するかどうかは完全に運であり、必ず通る詞は存在しないということです。

確率で考えれば気持ちが楽になる

 当然作詞家も人間ですから、自分でよくできたと思ったものが酷評されることもありますし、その逆もあります。コンペにするする通ることもあれば、全く通らなくなるときもある。それらの原因は往々にして「運」であるにも関わらず、そんなことで毎回感情を露わにしていたら疲れてしまいます。なのでそれを回避する考え方として「確率」で考えればいいかなと。

 コンペに10人応募している人がいれば、採用確率は10%。100人いたら1%、300人だったら0.3%。そういうふうに考えます。確率が10%なら、同じようなコンペに10回応募すれば1回くらいは採用される。今回は落ちても仕方ないやと。

 落ちても仕方ないからと言って作詞の手を抜くとかそういう話ではなく、あくまで詞を書き続けるためのモチベーション維持のための一方法であるということを断っておきます。

 2016年12月現在、私は活動歴二年目のゴミ作詞家ですが、piaproで「らでぃ猫」として応募した際の詞の採用率は約25%程度です。4、5回の応募で1回採用されるくらいの計算です。

 繰り返しますが採用率が高いからいいとか、そういう低次元の話ではなく「今3編落とされてるから、次はそろそろ採用が来るだろう」という気持ちの余裕を持たせるための計算です。頭の中でサイコロを振るくらいの余裕がほしいのです。別にサイコロじゃなくて、あみだくじでもジャンケンでもなんでもいいですが。

 ちなみにpiapro以外で(玄川静夢として)のコンペでの採用確率は0%です。これは私が直接応募したものは勿論、楽曲コンペ応募のための仮作詞として依頼を頂いた分も含めています。大体30編程度です。それで0%です。piaproがいかに手ぬるい場所か、私がいかにゴミであるかというのがよくわかります。そもそも絶対数が少ない、という突っ込みは重々承知です(笑)。

 しかし今0%だからといって諦めるわけではありません。次は採用されるかもしれない。次が採用されなくても、またその次が……という感じで、黙々と、粛々と作詞をするための原動力として、頭の中でサイコロを振る。そして書き続ける。

 要するに「気持ちの問題」です。私のような精神的弱者の方はご参考にどうぞ。